アメリカ食品輸出に必要なプレーヤーと商流・物流・手続き全体像
- ARISA SAITO
- Jan 26
- 7 min read
Updated: Jan 29
日本の食品をアメリカへ届けたい。しかし、複雑でどこから手をつければよいのか分からないという声が多くあります。(もしくはとりあえず売り先を探せ―とまずは一歩目を動きだしている方も見ますが、本当はそれだけではない)
本記事では、アメリカ食品輸出に必要なプレーヤーを、商流の流れとともに整理します。少し分量は多くなります。

まずは全体像:アメリカ食品輸出の物流、商流、手続き
物流、商流、手続きでいったん頭を切り分けることで整理したいと思います。今回はECは無視して本気の実店舗への販売で考えます
※こちらの記事では輸出者・輸入者双方の義務をまとめて書いているので、線引きについては以下の記事とセットで見ていただくと、より分かりやすいと思います
物流
まずは一番イメージしやすいモノの流れからです。
ステージ | 概要 | プレーヤー |
① 製造者(工場) | 商品の製造・包装 | 食品メーカー・OEM工場 |
② 日本側輸送 | 工場から港・空港へ配送 | 国内物流会社 |
③ 日本→アメリカ輸送 | 海上または航空で輸送 | フォワーダー(海貨業者) |
④ アメリカ通関(税関) | IORによる申告・関税支払い | IOR(Importer of Record) |
⑤ アメリカ側倉庫 | 商品の保管・在庫管理 | 倉庫業者・卸会社 |
⑥ アメリカ内輸送 | 倉庫からリテールへ配送 | ロジスティクス会社 |
⑦ リテール(販売) | 店舗での販売・提供 | スーパー・小売店・カフェ |
⑧ 消費者 | 商品の購入・飲食 | 一般消費者 |
商流
つぎにお金や契約の流れを分かりやすくするために、商流に行きます。どんなパターンがあるかを整理するとこんな感じです。
ここから若干トリッキーになるのが、商流がAのパターン「製造者→卸」だからといって、Bの「製造者 → 日本の輸出業者 → アメリカ卸」でやる際の輸出業者の業務を製造者が必ずやらないといけないかというと、Noです。商流に乗せなくても、外部に委託することもできます
プレーヤーはそんなに多くないのですが、輸出業者挟むかどうか、輸入業者挟むかどうかくらいの差があります
パターン | 製造者の負担 | 一般的に向いてるケース |
A:製造者 → アメリカ卸 → 小売店 → 消費者 | 大(英語契約・価格管理・返品対応) | 大手メーカー、海外経験がある製造者 |
B:製造者 → 日本の輸出業者 → アメリカ卸 → 小売店 → 消費者 | 小(国内出荷で完結) | 輸出に不慣れ、書類対応を任せたい場合 |
C:製造者 → アメリカの輸入業者→ アメリカ卸 →小売店 → 消費者 | 中だが、卸兼輸入業者が入るのは小規模輸出ではあまりない | 大量ロット、Importerが強い販売網を持つ場合 |
D:製造者 → 日本の輸出業者 → アメリカ輸入業者 → アメリカ卸 → 小売店 → 消費者 | 小だが、マージンも多く取られるため、小規模ではあまりやらない | 手間なく大量ロットを取り扱う、かつImporterが強い販売網を持つ場合 |
手続き
最後に手続きの話です。物流で一度登場した輸入者やらフォワーダーが再登場します。
保険(輸送保険、PL保険、Recall保険)についてはまた別途にします。
プレーヤー | 実施事項 | 補足 |
製造者(日本) | ・FDA施設登録 ・原材料・製造工程・アレルゲン情報の提供 ・仕様書(Spec)・COAの提供 ・国内出荷 | ・FDA関連は製造者の義務 ・商流に関係なく必須 ・英語対応は輸出者がサポート可能 |
輸出業者(日本) | ・輸出書類作成(Invoice/PL) ・フォワーダー調整 ・卸との商談 ・価格設計サポート ・製造者とアメリカ側の橋渡し | ・商流に入らなくても“実務サポート”は可能 ・輸出業者は在庫は持たないモデルもある |
フォワーダー(Freight Forwarder / Customs Broker) | ・輸出通関(日本側) ・船便/航空便の手配 ・書類整合性チェック | ・商流には入らない(所有権を持たない) ・書類不備があると輸入が止まるため重要 |
IOR(Importer of Record、在米) | ・通関責任(CBP対応) ・関税支払い ・輸入後の所有権(商流による) | ・FSVPとは別役割 ・食品以外でも必須の“輸入責任者” | |
FSVP担当者(食品安全責任者、在米) | ・食品安全の検証 ・製造者の工程・リスク評価 ・Recall対応窓口 | ・IORと同一会社の場合が多いが別でもOK ・FDA法に基づく食品専用の責任 |
FDAエージェント(US Agent、在米) | ・FDAからの連絡窓口 ・施設登録の代理受領 | ・製造者が契約する義務 ・FSVPとは全く別の役割 |
アメリカ食品輸出に必要なプレーヤーまとめ
①日本側:製造者(工場)
製造者が行うこと
FDA施設登録(Facility Registration
FDAエージェント(U.S. Agent)の登録
原材料・アレルゲン情報の提供
現地向けラベルの作成
製造工程・HACCP・賞味期限根拠の提示
仕様書(Spec)・COAの提供
必要に応じてパッケージデザインの作成
国内出荷(フォワーダーへの引き渡し
ポイント
FDA関連は製造者の義務
輸出通関は製造者ではなくフォワーダーが担当
書類は外部輸出コーディネーターが整理・翻訳サポート可能 フォワーダーの手配、FDAエージェントの手配もサポート可能
②日本側:製造者社内の輸出担当者または輸出コーディネーター
新たな概念輸出コーディネーターがここで登場します。社内でやれそうであれば社内、または外注するのでもいいです。(弊社はこの部分を担当します)
担当すること
必要書類の収集・整理
Invoice/PL の作成サポート
フォワーダーの選定・依頼・調整
アメリカ側プレーヤー(FSVP/IOR/卸)との連携
商流設計・価格設計
アメリカ卸への商品提案
卸が小売店へ提案しやすい資料づくり支援
ポイント
全体の調整役です。社内に置く場合は英語ができる、調整ごとが得意、関係者を自主的に巻き込んで回せる人を置くことをお勧めします。
単純に手続きだけではなく、製品の魅力・ストーリーを伝える役割も重要
フォワーダーやImporterの専門領域は代行しない。調整のみ
③日本側:フォワーダー(Freight Forwarder)
フォワーダーは物流の専門家で通関士が所属しています。製造者や輸出コーディネーターが依頼することが一般的です
役割
輸出通関(日本側)
船便・航空便の手配
書類整合性チェック
輸送保険(Cargo Insurance)の手配
アメリカ側の Customs Broker との連携(※通関責任者ではない)
ポイント
アメリカ側の輸入通関は担当しない(Customs Broker の領域)
商流には入らない(所有権を持たない)
書類が整っていないと輸出が止まるため重要
④ アメリカ側:FDAエージェント(U.S. Agent)
FDAエージェントは、製造者のためのアメリカ側連絡窓口です。在米であることが必須です
役割
FDAからの連絡を受け取る
緊急時の対応窓口
FDA施設登録時に必須
ポイント
FSVPとは別物です
在米住所が必須です。日本の工場は必ずアメリカ側のエージェントが必要になります
登録作業を代行するサービスもあります
⑤ アメリカ側:FSVP(食品安全責任者)
FSVP(Foreign Supplier Verification Program)は、アメリカ側で食品安全の責任を負う担当者です。
役割
原材料・工場のリスク評価
FSVPファイルの作成
FDA監査の窓口
リコール対応
ポイント
日本側は絶対になれません
在米企業のみ担当可能です
小ロット対応のFSVP代行会社も存在します
IORと兼務できる会社も多いです
⑥ アメリカ側:IOR(通関責任者)
IOR(Importer of Record)はアメリカ税関に対して責任を持つ“輸入者”です。
担当すること
税関申告
関税支払い
通関トラブル対応
ポイント
FSVPとは別の役割
法的責任を負う立場
小ロットではFSVPと兼任する会社が多い
⑦ディストリビューター(卸)
アメリカ国内で販売を担うプレーヤーです。多くの人が真っ先に着目するプレーヤーですが、実は本当に全体の一部に過ぎないです。とはいえ、売り先があることが大切なので、重要な存在です。
担当すること
在庫管理
配送
小売店への営業
返品対応
請求書管理
ポイント
IORやFSVPを兼ねる会社もある
小ロット輸出では「FSVP+IOR+卸」が一体型の会社が最もスムーズ
卸を挟まずに直で最終小売に卸す場合は、上述の担当することをその最終リテールが実施します
まとめ:
ここまで見て、こんなに色々あるなら無理と思うかもしれませんが、世に送り出したい良い商品があるならば、あとは全部のピースを集めてくれば何とかなるという見方もできます。FSVP・IORは輸入者側責任ですが、FDA施設登録・FDAエージェントの手配と書類準備は依然として売り手の責任になるため、弊社ではこれらを一括でサポートしています
どういうスキームでやるのがよさそうかの相談はまず無料で受けていますので、お気軽に連絡ください



Comments